「あの鳥が見ている物は、
私たちの見ている物とは違うわ。
それはもう、別世界なのよ」
「つまり、何が言いたいんだ?」
「私たちが、一般的にではなくて、
自分たちの納得できる形であればいい。
平凡と言える日常を持てる、
そんな世界は存在し得ないのかしら。
ねぇ、そんな所があるのなら、
貴方は行ってみたいと思う?」
それはつまり、
俺たちの望んでいる、楽園じゃないか?
「……そんな場所を、探しているんだ」
だから旅をしている。
そう答えると、彼女は笑った。
「馬鹿ね。
そんな場所、ある訳無いじゃない」
……本当に、何が言いたいんだ。
「だから、考えてみなさいよ」
そう言ったきり、彼女は黙り込んだ。
話しかけてくる声も無く、
代わりに静かな呼吸音だけが聞こえてきた
……つまりは寝ていた。
話し相手も居なくなったし、
休んだ方が、体の治りも早いだろう。
ここに入れられる前
――気を失っている間に、
片腕が捥がれていた。
だからその回復を早めようと、俺も目を閉じた。
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