「あら、それ隣の街よ」
「……道を間違ったか」
行こうとしていた街の名を言うと、
彼女は違う。と鼻で笑った。
「まあ、どうせ向こうも
観光なんて出来ないでしょうし、
こことそう変わらないわよ」
今の時代、どこも一緒よ、と彼女は笑う。
笑ってから、何かを考えたようで、
こちらを見据えながら言葉を発した。
「ねぇ、もしもここ以外にも
違う世界があるのだとしたらどう?」
「……どうって言われても」
そこには行けないんだし、
何も意味は無いと思う。
そう答えた。
「そうね。
でも、世界も街も、みんな同じよ。
少し違う場所にあるだけで、
とても多くの違いがあるもの」
さっきは『どこも一緒』
そう言ったのに、ころころと意見が変わる
例えば――と、彼女は
格子のはまる窓の外へと目を向けた。
窓の外には、木があり
小鳥が数羽止まっていて、
木の芽か何かを啄んでいるようだった。



