「なんか、困ってるっぽいよ」

気にしている俺の様子を見て、
彼がそう後押しをしてくる。

さすが、表情まで窺えるみたいだ。



「おっかけようか?」

「……頼む」


車の通れる道では無く、
木と木の間を縫っているらしいので、
少女を追うのは彼に任せる。

もしかしたら街で何事かが起こっているのかもしれない。

それなら、俺たちも知っていた方がいいだろう。


とりあえず俺は、もう少し森の中の、
車がもう1台通れる程の広がった道に、車を停めた。

ここからなら、さっきよりも中が見える。



確かに街はそこにあって、
しかし人の姿が見当たらない。


とりあえずここで、彼の帰りを待とう。