その晩は、ちゃんと水道の使える
その町で夜を明かして、
次の日、いつものように出発した。



「……ああいうのも、1つの手だよな」

「何がー?」


「パートナーが自分を与えるってのが」

そう答えると、
助手席で彼は暫し、考え込んでいた。



「……でもそれは出来る人間の
 絶対数が少なすぎるよ」

自分の血を与えて、
それで実行する気かと、問われる。


「別に、言ってみただけだ」

「ならいいけどさ。
 ジュンだって、痛いでしょ?」

「……食われる程じゃないさ」


苦笑された。

「痛い思いさせてごめんねー」

「愛してるんだから、気にするな」

苦笑で返す。



「次は人の居そうな方、行ってみるか」

「何か名物のある所じゃなかったっけ」

地図で、近くの町を指して言う。

「じゃあ、そこにするか」


目的地は決まった。

あとは暫く、走らせるだけだ。