それからは、俺が彼に体を与えて、
彼は他の誰も、口にしなかった。
それで幸せだった。
俺には彼だけだし彼もまた、そうだから。
周りなど気にしなければいいのだと
そう開き直り始めた。
だけど彼は、違った。
俺が白い目で見られるたびに、
代わりに傷ついているようだった。
……自分は何もされてはいないのに。
そんな優しい所も、俺の好きな所だ。
彼は俺が同調されやすいとか言うけれど
それは自分も同じだろうに。
まあ、そんな感じだから
どうにかならないだろうかと考えた。
……やっぱり、
俺が消えるのが一番いいだろうか?
彼にはまだ、長い時間がある。
それはずっと思っていたことだけれど、
こんな世界になってしまって、
さらにその時間は増えた。
だから俺といるよりも、
もっと幸せになれる道はあるんじゃないか
そんな事も考え始めていた。