食事を摂っていると、
眠っていた子が、身じろぎをした。

「あ、起きちゃったかな?」

少年がそちらへ近づき、様子を見ている。


「薬飲んでるんですけど、
 あんまり効かないみたいで……
 本当、気にしないでくださいね」

……薬、か。

ゾンビ化して、人を襲い始めた者を
殺さずに、けれど被害を抑える為に
眠らせておく薬がある。

それは、徐々に服用者の体力を奪い、
近い内に死に至らしめる薬だ。

しかし、何故……?


「人の多い所ならまだしも、
 こんな所で飲ませる必要あるの?」

俺と同じ疑問を抱いた彼が、
代わりに質問をした。

「もう、お終いにしようと思ったんです」

少年は、語り始めた。