ハンバーガーショップがあった。

「もうここでよくない?」

彼が言った。

「ま、たまにはいいか」

この辺りには、他の店は無いようだし。

それどころか、人が見当たらない。
きっとここは廃れてしまったか
見捨てられた町なんだろう。

電気が点いている建物は、他に無い。
ここも、営業してるかは解らないけど。


カラン、カラン

ドアを開けると、ベルが鳴った。


「あ、いらっしゃいませ!」

出迎えたのは、少年だ。


「……ここ、営業中?」

彼が尋ねたのも、無理はない。

壁一面に、血液の飛び散った跡。
窓ガラスは割れていて、
隅の方には壊れた家具が積まれている。


「はい、ちゃんとやってますよ!」

「じゃあ、バーガーセットお願いします」

壁のメニューを見て、彼が言った。

「かしこまりました。
 お飲み物は何に致しましょうか」

「コーラで」

「俺も同じ物を、ウーロン茶で」

「かしこまりました!」

少々お待ちくださいと言って、
少年は奥のキッチンで物音を立て始めた。