少女の顔を確かめて、外へ出た。

そこには、泣きそうな顔の少年と
その頭を撫でている彼の姿があった。

知ってるか?
その手は本当は、俺専用なんだ。

この状況で、そんな事は言わないけれど。


「どうだった?」

尋ねたのは、少年ではなく彼だ。

「大丈夫……幸せそうに、笑ってた」

そう答えると少年は、ついに涙を流した。



最期の時、瞳に映るモノが最愛の人ならば
それはきっと、とても幸福な事だろう。


「だからさ、いっそ、全部食べてやれよ」

きっと少年は途中で我に返ったんだろう。
そして、望みをかけた。

だから少女は、
中途半端な姿で横たわっていたんだ。


「その方が、彼女も喜ぶだろう?」

俺がそう言うと、少年は、
家の中の少女の元へと走って行った。




「……ガソリンは?」

「もう入れてもらったよ」

彼は家の裏手を指さした。
そこには、給油用であろう、
タンクとポンプが見えた。

「それじゃ、行くか」

「そうだね。
 あと、この辺の地図も貰ったよ!」

「でかした」

褒めてやってから、車に乗り込む。

まだ太陽は高い位置にある。
次は、美味い食事でも目指そうか。