「あー、行ってらー」
あたしは克海の背中を加藤さんの方へ押した。
克海は若干よろけて、それからあたしを見てきた。
…そんな顔すんな。
あたしが悪いことしてるみたいじゃないか。
あたしがだめ押しに手を振ると克海は加藤さんと一緒に教室を出て行った。
それを見送ってあたしは席に着こうとした。そう、着こうとね。
「ちょっとちょっと涼!!いいの?克海くん行っちゃって」
「付き合ってるんでしょ!?」
「加藤に盗られちゃうわよ!」
「あのぶりっ子に!!」
「克海くんの貞操が!!」
「いやー!!」
「お前ら落ち着け」
暴走したクラスメートを止めたあたし偉い。


