もう二度と、傍にいることなんてできないと思っていた透が、しばく傍にいるなんて!…


麗はおそるおそる聞いてみた。


「透って……」


「何?」


「結婚とか……」


「嫌だな麗、俺奥さんいるようにみえる?独身だよ~で……麗は?」


ホッとして聞いていた。緊張が少しやわらいだ。


「麗…は…」


「残念だけど…してない!」


なんだか麗は…引っ越しが決まった透に何も話せず別れたあの日に戻ったような錯覚をしていた。


気持ちは変わってない…ずっと忘れられなかった透が、今隣で微笑んでる…


「透、電機関係の仕事についたの?」


「いや。大学はやめて専門学校行って、旅行関係の仕事についた」

麗はこの時、透が自分のやりたかった仕事を、何故あきらめたのか知らなかった。


「麗は?」


「私は、やりたい事見つけられなくて、高卒でデパートに就職したよ」


「そっかぁ~頑張ってるんだ。それで麗…今……いや…あそこのパスタでいいか~?」


麗は返事をしながら、いいかけてやめた透が気になっていた。