麗は、20歳になっていた。


目指していた高校に無事入学


でも、中学卒業前に透との別れを経験してから、気持ちの中にポッカリ穴が空いてしまったように、ただ何となくこなして来た。


ほとんど人が進学する中で、麗は就職を希望した。


好きな人?


透の面影を探しながら、ただここが似てる。と感じると、仲良くはしてみても、透と過ごしていたあの日の感情にはなれなかった。


だから、いつも友情止まりの付き合しかできなかった。


透が引っ越しをして、遠くに行ってしまった日の最後の手紙に、


(麗を嫁さんにする)


と書いてくれたのを信じていた。というのも、また違う気がする。

透は、最後に一緒に帰った時に、夢は叶わないから夢って言うような気がする…なんて言ってたし、あれ以来連絡があるわけでもなければ、透と付き合ってる友人もいなかった。


だから、麗の中ではあの日の恋は終わっていた。


ただ、体で感じたあたたかな感情だけは麗の中に刻みこまれ、忘れる事はできなかった。