続 初めての恋 ~大切なあなたへ~

車に戻ると、辺りは暗くなっていた。


「さぁ麗、帰ろうか。疲れただろう。振り回してごめんな」


「明日、何時に帰るの?」


「夜までに帰れば大丈夫だけど。麗は仕事だろう」


「うん…」


沈黙のまま、街中まで来ていた。音楽が静かに流れてて、街のネオンがキラキラとまぶしく光っていた。


「透、もう少しだけ一緒にいたらダメかな?」


透は考えていた。このまま一緒にいたら、麗に触れてしまいそうで…せっかく忘れようとしていた、自分との時間を、また思い出させて良いのだろうか?


麗と離れていた時間は、自分にとって空白の時間。麗が恋をしてた話しなどを聞いて嫉妬しないと言い切れるだろうか…


麗との思い出は綺麗なままでいたほうが、麗にとって幸せな事ではないだろうか…


「透?どうしたの…迷惑だったら帰るから」

「迷惑だなんて。そんな事ないよ…じゃあ…」


言いかけた時に、透の携帯が鳴った。車を道路脇に停車して、携帯を取った。


「お疲れ様です。はい…あっ、今ちょうど近くにいます。はい。すぐ届けます。失礼します…」