『私、もう聡史くんと話ができないんだよ』 『手話もあるし、こうやって筆談すれば話せるよ』 『私、もう耳聴こえないし』 『僕が涼子の耳になるよ』 僕がそう言うと、涼子はとうとう堪えきれなくなった涙を流し始めた。 僕は、泣き止むまで涼子のことを抱き締めようと思った。 きっと、今流れている涙が、何より涼子の本当の気持ちを表しているはずだから。 もうこれ以上、言葉は必要なかった。