君が僕の名を呼ぶから

「もう僕は、真希から逃げたりしません。」




僕がそう言うと、彼は黙って拳を握りしめた。




「……僕は、確かに真希を傷つけてしまった。それに、この数年間の真希のことはほとんど知らないんです。正直、あなたのほうが知っている真希の部分もあると思います……でも」




僕は間をおき、彼の目をしっかりと見つめた。




「……僕は、真希が好きです。その気持ちだけは、過去を何と言われても、誤った想いだとしても、誰にも負けない。人生で最初の、そして最後の恋なんです。」




彼もまた、僕の目をしっかり捉えている。




「ここで、あなたの言う通り、真希に会わなければ、真希はあなたの望む絵が描けるようになるかもしれない。……でも、真希はきっと、僕の自惚れかもしれないけど、大切な何かを失って、僕もずっと笑わなくなって、一生後悔します。会って拒絶されて傷つくより、会わないで一生後悔するほうが僕は嫌です。」