大好きな彼が浮気しました。


一度俯き、キリキリと奥歯を噛み締めて。

バッと顔を上げた。


「今は、全然苦しくないよ。紗弥や、司や、お兄ちゃんが居るもん」

私はそれだけで充分だよ。

もう他に何も望まない。親友も、恋人も、家族もいるんだから。


だけど―――


「嘘つけ。じゃあ何で泣いてるんだよ」