「う…うふふ。帰れないわ」 これはイジメか…。 粘着剤が私に『コンテストなんか出るんじゃねぇぞゴルァ』と言っていた。 と、 「―――なんだ、それ」 静かな、生徒玄関に響く、低い声。 聴いたこともないような美声。 思わず私はすぐ後ろを振り返った。 「…どちら、様でしょう」 思いっきり、靴箱の扉を閉める。何にもなかった事にするかのように。