エレベーターの中にいた男が、おれの腕を引っ張ったからだ。



「なっ、何すんだよ!」



男は無言でエレベーターの〔→ ←〕マークを押して、



閉まるドアの音に紛れるように、男はドスの効いた声を出した。



「まだ‥‥まるが泣いたままじゃろうが!はよぅ戻れ、それでも男か!」



ポチッとまなの病室のある6Fのボタンを押して、



呆気にとられるおれを、6Fの廊下に突き飛ばして



男はまたすぐ下に降りて行った。




「な‥‥なんだよアイツ」