「‥‥あり?オレの出待ちだったん?」


ひょこっと開いたドアの隙間から顔を覗かせる、くす。


「お化粧せんとねぇ、くすに嫌われるけん」

私は笑顔でくすに抱きつきます。


「まなはなぁ、化粧せんでも可愛い目しとるよ。寝といたらいいのに」


くすも私を上から覆いかぶさるように抱きしめてくれます。


楠木 優一(くすのき ゆういち)、あだ名は「くす」。


身長がひょろりと高い彼は、155センチの私の隣に立つと頭一つ分は違います。


やっぱり肌寒い病室、
くすの腕だけが温かいです。