「いつから見てたの? 巡くん。まさか僕と雅のキスから?」

「黙れ」

鋭利な瞳を向け、言葉を制す。
しかし遡羅は平然とした様子で両手を上げた。

「そんな訳ないか。もしそのタイミングを君に見られてたら、早くに邪魔されてただろうし」

くすくすと笑い、遡羅は唇を歪めた。

「ねぇ、どうしてなのかな?」

「どうして雅はいつも、僕を選んでくれないのかな?」

「いつもいつもいつも」