なり振り構う事なんて、出来る訳がない。 いま目の前の状況を見て、己を隠そうとする訳なんてない。 また同じ事を繰り返そうとしている男の背に手を伸ばして、引き剥がす。 愛しい少女の目の前から。 「え…?」 無意識に出た鈴のような声が聞こえた。 同時に白髪の男が幹に叩き付けられ、木が大きく軋む音がした。