「おかしいなぁ……みことといた時間は、僕の方が長いはずなんだけど」

顔が、上げられない。
遡羅の声だけしか聞こえない状態で、みことは感じていた。

「どうしていつもいつも、みことが呼ぶのはあの男なの…?」

一言、一言。重みを増して行く言葉が全身にのしかかる。

 ああ、まただ。また、駄目だった。

諦めたような声音が聞こえた瞬間、みことは顔を上げた。

「やり直しだね」