「雪乃みことは、渡さない」

同じことを繰り返す。
たとえそれが遡羅により全て踏みにじられたとしても、繰り返し続ける。

「あいつが   ない……を、俺は」

大きな風に言葉がさらわれる。
けれど遡羅にはハッキリと聞こえていた。

目の前に立つ馬鹿な男の、馬鹿な決意が。