「貴様は今、ここで…俺が…!」

「そんなことしたら、みことが悲しんでしまうよ」

唐突に出た少女の名に、巡の動きが完全に硬直する。

――やっぱり、この男は面白い。

「僕は彼女の大切な友達なんだから。僕が死んだら…それも殺されたなんて知ったら、泣いちゃうよ? 僕を殺した人のことを憎んで、泣いちゃうよ…?」

「ふざけるな!!」

怒号と共に、巡の足元が大きく沈む。
コンクリートに亀裂が大きく広がり、それはまるで彼の怒りをあらわしているかのようだ。