戀愛物語

なんとか席に到着し、一息ついた。

その時、辺りが大きくざわめき立つ。
頬を染めてとろけるような瞳をした店内の女子達の中心にいるのは、確認しなくてもわかってしまった。
美しい白髪を揺らしながらトレーを持つ美少年。
何度か女子高生に呼び止められている遡羅をぼんやりと見ながら、みことは考えていた。

本当に、どうして…遡羅みたいな男の子が私を構ってくれるのだろうと。
普通ならば何の共通点もない。遡羅はたくさんの人に囲まれていて、みことは影でひっそりと生きている。

それが、本来の二人の姿であったはずなのに。