戀愛物語

激しくなった動悸を沈めるように、二・三回深呼吸をする。
気分が落ち着いて来た頃には、巡の黒髪は元の肩よりも短い長さに戻っていた。

「雪乃……みこと」

腰掛けているベッドのシーツを、力任せに握りしめる。
何度も何度も、一人の少女だけを呼び続けた。

「みこと」

悲しくて消えそうな声で。
そして、愛しさのあふれている声で、巡は口にし続けた。