ふとアタシから目線を外して、バックに目を向けたお母さん。
その視線の先をたどる様に、アタシもお母さんのバックに目をやった。
お母さんの行動に目を光らせる。
お母さんが取りだしたのは、ケータイ電話。
徐にケータイを開いて電話をかけだした。
もう1年くらい、開いてないケータイは久しぶりに見かけたせいか懐かしく映った。
「今までありがとう…」
お母さんがそう言った時、これから自分の身に起こりうる事が頭に過った。
嫌……まだ、嫌だ…。
鼻声で泣きそうになりながら、お母さんは電話を静かに閉じた。
ふらふらと台所に足を向かうお母さんの姿は、離れていくうちにどんどん細くみえてアタシの知ってるお母さんではなかった。
痩せこけた手足は、骨だけといった感じで骸骨みたいで気持ち悪い。
完璧だった容姿は、カケラも残っていない。
そこから包丁を持ってきたお母さん。
「あ…ぁ、…」
怖い

