お母さん、一緒に頑張ろう。



アタシは毎日お母さんに言ってた。

それがお母さんを追い詰めてしまっていた、なんて知らずに。




「頑張ろう、頑張ろう」


自分でもその言葉に嫌悪感を持ち始めた時、お母さんは壊れた。




「頑張るって何?」



「何をどうすれば、私は莉麻に“頑張ってる”ように見えるの?」



「今の私は頑張ってないっていうの?」





突然起き上がってアタシにじりじりと歩み寄るお母さん。


それまで動く事なんてなかったお母さんが壊れたようにそう繰り返すから、アタシはいつもの様にお母さんを抱き締める事なんて、出来なかった。



アタシが追い詰めた。

それが分かった時にはもう、お母さんは正気じゃなかった。