莉麻ちゃんの話をしている時の麻子さんは、本当に楽しそうだった。
俺はこの時、「俺が恋したこの人は、強い人なんだな」なんて思ってた。
麻子さんが言ったこの言葉を、今でも忘れられない…。
でも君は、本当に強かったのかなぁ?
何か出来ないのか、
そう俺が言っても麻子さんは断って聞かなかった。
それでも、ここで食い下がる程頼りない男にはなれなかった。
せめて、莉麻ちゃんになにかあったら助けて。という事になった。
そしてこの日、麻子さんはタクシーで帰っていった。
行きのタクシー代を払う、と言ったのにそんな事すら聞き入れてもらえなかった。
ケータイの連絡先を交換して、「何かあったら必ず連絡をする」と約束した。
連絡先を交換しただけで、麻子さんから連絡が来る事は無かった。
その日以来、噴水の前でも見かけなくなった。

