「そう?」

僕が麻子さんの顔を覗き込むと、麻子さんは顔をあげて言った。


「うん、そういう顔は可愛いんだね。」



この表情は、どんな意味があるの?

口元は笑っているのに、目はなぜか寂しそう…


何が、その笑顔を曇らせているの?
その“曇り”は、僕に取り除く事が出来る?


「でも、想太くんってどっちかっていうとクールな顔だから、」

僕はその言葉を遮って口を開いた。


「そう?クール?」

すると麻子さんは続けた。


「うん。この切れ長な目とか、私は好き…。」


麻子さんはいつの間にか床に座っていて、そこから僕の目元に小さな手を伸ばした。

「ん…」


くすぐったいと感じたけど、抵抗はしなかった。

「だから、想太くんが自分の事を『僕』って呼ぶのが可笑しかったの。」

僕はそのままで「どうして?」と尋ねた。