僕は何も言ってないのに、麻子さんは早口気味に話し出す。
「ちっ違うの!せっかくご飯食べたのに、想太くん寝ちゃったからっ、仕方なく…」
そっか…
飲ませてくれたのか、
とすぐに分かる麻子さんの行動。
「ありがとう」
今度は笑って、麻子さんにもう1度お礼を言った。
「あ…」
彼女は、表情がコロコロ変わる人だ…
今度は呆気にとられたような顔をしてこちらを見ている。
「ん?」
なんだか、素直な人だなぁ
「想太くんって、笑うんだ…」
「はあ?」
そりゃ、僕だって笑うし泣く事だってある。
現に君に会いたくて、話をしたくて、泣きだしそうな程君が恋しかったんだから…
「あ、だって。笑ったとこ初めて見た…」
この前は、1度も笑わなかったから。と付け足して麻子さんは俯いた。

