だんだん部屋が暖かくなってきたと思ったら、エアコンが起動していたのに気付いた。
こんなところまでぬかりが無いんだな。


そういえば、麻子さんはなんで待ち合わせ場所のベンチから離れた、あそこに居たんだろう。



ぼーっと天井を眺める。
ずきずきと痛む頭。

30分程、経っただろうか。
麻子さんはおかゆを作って持ってきてくれた。


「起きてたんですね。おかゆ作りました、食べながらでいいんで熱計ってください。」


手際が良いというか、慣れてるのか分からないけど…
1回しか会った事のない男に、ここまでするものか?


「あぁ、ありがとう」


僕は体温計を脇にはさんでから、おかゆを口に運ぶ。

「あっつ…」

すくったスプーン程、大きく食べれなかった。

「あ、気を付けて食べてください…熱すぎたかな?」



熱いものは苦手。
猫舌なんて知られたら、ただでさえ赤い顔は更に赤くなってしまうだろう。

でも、知られなくても安易に赤くなってしまった。