どうしていいか分からないのに
想太くんはいつだって冷静。
「美味しいよ」
少し間を置いて、アタシは答えた。
想太くんは、間を入れずに続けた。
「その事じゃなくて。落ち着いたか?」
ほらね…
想太くんは冷静。
寝て、すっかり落ち着いたけど。
気が狂いそうなくらいに、頭の中は想太くんの事ばかり…
なのに想太くんは、それよりもちゃんとしてる。
『ガキ』
間違ってない。
何にも知らない、アタシはガキ。
こんなガキ、嫌に決まってる。
だから誰にも愛されない。
「うん」
こんな風に、見栄ばかり張る。
気持ちを隠すのだけは、天下一品。
人と向き合うことが出来ない。
譲れない程頑固。
なんの可愛げもない、ただのガキ。
「悪かった。」
想太くんは大人。

