「待ってて、サラダ持ってくるから。」

アタシの返事を待たずに想太くんは部屋を出ていく。


もしそうなら…哀しいな。
アタシとは正反対の片平さんを見て、キュンとしたのかな?
好きって、撤回されるのかな?
もう1回、言って欲しいくらいなのに…


少しだけ開けてったドアを足で開けて、想太くんは両手にサラダの盛られた皿を2つ持って帰ってきた。

「食おうか。」


そう言っただけでいただきますも言わずに、想太くんは水を一口飲んだ。



『落ち着け』

『夕飯出来たら呼ぶ』


数時間前の想太くんの声が、頭の中で蘇った。

こんなにも鮮明に思い出せるのに。
怖かった声と、哀しそうな顔。

あの夜の事だって…
簡単に思い出せる。

嬉しかった『好き』も…
『愛しい』って言葉…


もう、アタシに向けられる事は無いのかな…

じゃあ、あの日
出かける前に、なんでアタシを抱いたの…?


分からない事だらけ。