「なんで焦ってんの?他に良い人でも見つけたの?」


想太くんが冷たく言った。
アタシよりももっと、怖い声だった。

震える手で震える身体を包み込んだ。



止まれ、止まれ止まれ!


「まだ続きがあるんだけど…なんで聞けないの?」


想太くんの顔が見れなかった。

だって、絶対怖い顔してる。
声が、すごく怖いもん…



「ガキ。」



えぐられていく、傷ついたボロボロの心。

アタシは、ガキなんだって。


だから、大人な片平さんのところに行くの?



「はぁー…」

想太くんは大きなため息を吐いて、アタシに言った。


「ちょっと落ち着け。俺も落ち着くから。
莉麻が何想像してんのか分かんねーけど、今は言葉選ぶ余裕ねーから。
部屋、戻ってて。
夕飯出来たら呼ぶ。」