何の気なしに言った言葉だったんだろうけど、アタシはかなり傷ついた。
想太くんは本当は、ああいうふわふわした人がタイプなんだろう。
それからアタシは、髪の毛を染めたり薄い化粧を覚えたりした。
少しでもふわふわな女の子に近づく為に。
想太くんはきっと、気付いてない。
こういうのには鈍感なんだから…。
「今日は家じゃなくて外で会う事になってるから、帰る時メールするけど。それだけでいい?」
想太くんの表情は見なくても分かる。
勝ち誇った顔が目に浮かぶ。
想太くんはアタシの気持ち、分かってるのかな?
分かってるから、言ってるのかな?
そんな事どっちでも良かった。
2人が外に居たら、恋人同士みたいに見える。
しかもお似合い…
華奢だけど身長も高くて大人っぽい片平さんは、アタシと正反対だ。
アタシが想太くんと並んで歩いてても親子くらいにか見られないだろう。
「ん、いやだ。」
嫌だ。
そんなの。
アタシは想太くんのものなのに。

