想太くんはアタシの言葉を無視して、躊躇する事なく炒飯を口に運んだ。


「うっ…」

想太くんは目を大きく広げて口に手を当てる。

やっぱりまずかったのかな?
人参入れたのばれたのかな?
人参入れると、想太くんはいつも怒るから…


「ごめん…人参の味する?」

「え?」

想太くんは目を広げたまま、炒飯からアタシに目線を移した。


「うまいよ、びっくりした。人参は入ってんの?」


想太くんは笑いながら言う。
アタシはその言葉が信じられずに、疑いながら炒飯を口に運んだ。

…いつもより美味しくできた気がする。
でも、想太くんが作る炒飯の足元にも及ばない。


「そう、かな?人参入れてみたよ」

ごま油で炒めたから、味が消えたのかな?
どっちにしろ、美味しいって言ってくれたからよかったけど。