人参が嫌いな想太くんの為に、フードプロセッサーで細かくする。
想太くんの事を想えばどんな手間でもめんどくさくない。


「~♪」

さっきまでの身体の火照りを忘れて、鼻歌を歌いながら手を進める。

たくさん味見をしすぎたせいで、曖昧になってきた味覚はもう頼りにならなくなった。
とりあえず早くを目的に、アタシはフルスピードで炒飯を作った。
お皿に盛りつけて、サラダも盛った。
卵を溶かしたスープも食卓に並べて、想太くんを呼びに向かう。


ノックをすれば、すぐに返事が返ってきた。
ドアを薄く開けて、想太くんの姿を確認。

寝れない黒縁のメガネをかけて、机に向かう想太くんは知的で格好良い。

ずっと見ていたいな。
なんて思いながらも、想太くんを食卓に呼んだ。



「おぉ~早かったな。」


ものの30分足らずで出来た料理。
さすがに急ぎすぎた?
だんだん味に自信が無くなってきた。



「あの、あんまり美味しくないかも…」

と、一応念を押しておいた。