「夕飯の事考えてんのかよ?」
目の前の需要に集中出来ないアタシは、想太くんの声でいちいち過剰反応する。
その度に想太くんのだるそうな顔を確認。
「考えてない」
集中してないわりには、しっかり聞いてる声。
聞き逃すわけがない。
どんな言葉でも、聞き逃すなんてありえない。
全てを記憶に強く刻み込んでいたいから。
「ひき肉と豆腐があるから、夕飯はハンバーグな。だからケチャップご飯は却下。ピラフでもいーよ。はい、よろしく。」
ぱぱっと言いたい事を済ませて、想太くんはキッチンから姿を消した。
抜け目が無いというか、無駄が無いとうか、そういうところはアタシが尊敬する所の1つ。
テキパキと何でもこなす姿は、思わず見とれてしまう。
「よし!」
想太くんは書斎に入ったから、仕事をするんだろう。
お腹が空いたままじゃ集中出来ないだろうし、早く作ってあげよう。
と気合いを入れて適当な野菜に包丁を入れていく。

