捉えられた目を逸らして、目だけ下を向いた。
逸らしたくないのに。
そうさせるのは想太くんだ。
「こっち見て言えよ。」
それに、今さら気付いた事。
産まれたまんまの格好で、抑えつけられたアタシの腕。
今のアタシは無防備なんてもんじゃない。
「し、したいと思うから…っ」
これがアタシの出した精一杯の答え。
想太くんの言い付けを守らずに、下を向いたまま答えた。
もちろん、あのまま寝たから想太くんも裸。
骨張った力強い大きな手で、想太くんの腕の半分にも満たない程細い腕を掴まれてる。
可愛いと思ったから思わず、なんて口が裂けても言えない。
キスが恥ずかしいなんて思った事なかった。
空っぽの心が満たされていく感じ。
昨日までのアタシは、そんな感じで想太くんとキスしてた。
好きだから、ってのもあったけど。
きっと寂しいと感じた時に、キスを迫っていたんだろう。
愛してほしいと思った時に、キスをしていたんだろう。

