想太くんはもう炭酸の抜けた飲みかけのビールを一口飲んだ。
アタシも目の前のビールを一口。
やっぱり、苦い。
いつの間にか勢いに任せたはずの酔いは冷めてしまったようで、頭がくらくらした。
「あの日、お母さんが電話したのは想太くん?」
アタシは半分確信してた事を聞いてみた。
「あぁ、そうだよ」
やっぱり、お母さんの大切な人“も”想太くんだったんだ…。
がっくりと肩を落とす。
「アタシは…想太くんの大切な人を奪った。」
声が震えた。
涙が出そうになった。
アタシの愛しい人…
その人の愛しい人を、アタシが殺した…
泣きたくなる程残酷な過去。
「ねぇ、アタシが憎いでしょう?」
そうだと言って。
そうすれば、後が楽だから…

