アタシだったら耐えられない。
自分の大切な人を殺した人物が目の前に居たら、発狂してその人を殺してしまうだろう。
自分よりも大切な、何よりも大事な、自分の宝物。

それを奪った人が目の前に居たら…


少なくても冷静ではいられない。
パニックに陥ったその人を慰めるなんて、とてもじゃないけど出来るわけがない。


それが普通だろう。


それなのに、アタシを抱き締めて助けてくれるなんて
それ程普通じゃなくすくらい、異常な行動をとらせてしまうくらい…


アタシは想太くんをも、狂わせてしまったみたい。



事実を知っておきながら今まで助けてくれる行動ばかり取ってアタシを支えてきてくれた想太くんの心は、どんなに黒くてドロドロしていたんだろう。
それとも…相当の損する程のお人好しなのだろうか。



「想太くんの知らない事、教えてあげるね…」


もしかしたら知らないのかも、なんて考えた。