「何言ってんだよ、もう酔ってんじゃん」
想太くんは呆れた顔で冷蔵庫から缶ビールを1カートン持って、ソファに座るアタシの隣に座った。
上半身は何も着ていなくてフェイスタオルを首にかけた想太くんの姿は、漫画に出てきそうな典型的なオヤジの姿なのに、無駄なものが何もついてない身体にまだ濡れたまま髪は想太くんの色っぽさを引き立てている。
そんな想太くんの姿に生唾を飲み、半分も残っていなかったグラスに残るお酒を一気に飲み干した。
「そたくん、そたくん。莉麻ちゃんにもビールちょーらいっ!」
そんなアタシは、魅力的な想太くんに絡む完全なる酔っぱらい。
でもまだ意識はあるんだから、今の内に言うべき事は言っておかないと思考回路が回らなくなってしまう。
「お前、ビール飲めねーじゃん」
想太くんはなんだかんだ、やっぱり知ってくれてるんだな。
「飲ーめーうー!くれくれ!」
アタシは想太くんにくっつきながら言った。
苦いビール。
想太くんを少しでもアタシに焼き付けるため。
もう大事な記憶を無くさないようにするため。

