いつもと違う想太くん。
週刊誌なんかに載ってるクールな想太くんはどこにも居ない。

ところがだんだん、アタシを挑発させるような目になってきた。


普段のアタシだったら、キスしてしまうところだけど。
今日は、特別な日。

それを見ない見なかった事にして、アタシはケーキに目線を戻した。


「ねぇ、このクッキーも美味しそう。想太くんも食べてみなよ」


アタシは手で、文字が書かれたクッキーを持ってクリームがついてない方を想太くんの口まで持っていった。
つまり『あーん』。

想太くんは何も言わずにそれをパクリとくわえた。


アタシの、勝ち。


想太くんがくわえたクッキーから手を離して、アタシもクリームがついてる方を口にふくんだ。


想太くんは目を見開いてビックリしたような表情を見せた。

ふっと笑って、アタシはそのままクッキーをかじって口を離した。


「んー美味しい。けどアタシはタルトの生地の方がす…んっ」




ほら、アタシの勝ち。