「あれ、菜摘。今日は王子いないの?」 学校の校門で、万里と会った。 「おはよ。…いるわけないじゃん」 「めずらし…あの日からずっと、朝も放課後も犬みたいに来てたのに」 「あんな偉そうなのが、犬なんておかしいよ」 「偉そうでも、あんな綺麗な犬なら飼いたいわよ」 …確かに、見た目だけはいいかもって最近気付いたけどー… 「あちらこちらに、マーキングしているような犬は嫌」 「?菜摘、何か言った?」 「え!?あ…別に」 ふと、駅でのことを思い出して無意識に出た言葉に、自分でも驚いた。