「お待たせいたしました。ごゆっくりどうぞ」 一瞬営業スマイルを見せマニュアル通りの言葉を残し、慌ただしそうに次の注文を取りに行った。 あの時は苦くて飲めなかったコーヒーをあえて頼んでみた。 コーヒーの泡に海斗を浮かべ目を閉じる。 「本当はカフェラテとか飲みたかったんだろー。お子様佐良~」 ほら、とシロップを渡してくれた。 「そんな事ないしっ!あたしだってコーヒー位飲めるもん!」 あの日に交わした言葉がこだまする。