「あら……。」


妃は今度は私に目を向ける。

私はペコッとお辞儀をして、


「あ、えっと、城下町に住んでいます、ルト・オーウェンです!き、今日は、王女様、と、お祭りを楽しんだりしてっ!」



と、軽くきょどりながら自己紹介をする。



「あの、母上。私、彼女にあの事を教えたいんです。」


王女がいきなり口を開く。


「なぜですか?」



妃は静かに言った。




「私達………お祭りから帰る時…。―――悪しき者が、現れたんです!!」



ザワッと辺りがどよめく。



「まぁ……!私、ずっとあなた達の事を見てたのに………何か強い力を感じるわ。――ただ事では、なさそうね。」



妃の言葉に首をかしげる私。

悪しき者?強い力?

わけわかんない。

でも私を除く城の人達は理解しているみたい。



「そうね…、真偽の間に行きましょう。そこで婆やから話を聞くことにします。」


妃の言葉に王女は、

「はい!」

大きく返事し、


「婆やに聞くのかよ…。」


「婆やは城一番の魔法使いだからね。」


と、アドメンと優しい男の会話も聞こえた。