「そうだ、露に話があるんだ」


再び椅子に座った霧様が突然思い出したように口を開き、少しだけ深刻そうな顔をして私に向き直った。


「霧様……?」


霧様のその様子に、私はなぜか不安を感じる。


「あのね、来週から学校に行くことになるからそれを露に話しておこうと思ってね」

「あ……」


そうだ。
私がこのお屋敷に来て、いつも家にいらっしゃったからすっかり忘れていたけれど……。


霧様は学生。


しかも、もう新年度が始まっていてもいい頃なんだから、学校に行かなければいけないのは必然。


「本当はもっと露と一緒にいたかったんだけど、留学から帰ってきたことだし、ちゃんと通わないとね」

「そう、ですよね……」