「霧様、お休みのところ申し訳ございません。
お客様がお見えになりました」


次の日――。


まだベッドの中で眠っていた僕の部屋に、一人の客がやってきた。

休みの日、僕が眠っていると分かっている時は誰も起こしに来るなと言ってあるはずなのに、今日に限ってなぜか使用人僕を起こしに来た。


しかも、ひどく焦っているようである。

そんなに重要な客なのか?


僕は起きたてでまだ重い体を起こしながら、部屋のドアを開ける。


すると、深々と頭を下げた使用人が立っていた。


「霧様、申し訳ございません!
お引取りを願ったのですが、こちらの方がどうしても霧様にお会いしたいと申されまして……」

「誰?」

「なんでも、露様のことでお話があるとか……」

「露のことで?」


この使用人の様子だと、今日ここに来たのは露の家族ではない事が分かる。

なら、誰が?


「だんな様にご相談したところ、通してもよいとおっしゃられたので……」


父さんも承諾?

不思議に思い、部屋から顔をのぞかせ、姿を確認する。


すると、その意外な人物に目を見開いた。


「君は……」