その日は全く眠れなくて、朝方まで何をすることもなく、ベッドに入ったままボーっとしていた。

すると、隣の部屋から小さく扉の開く音が聞こえた。


時刻はまだ5時。

眠りの深い露が起きてくる時間ではないのに……。


扉に近づいて、気配を確かめようとしたところでふと足を止めた。


ああ、そうか……。

露は、僕に黙ってここを出て行くつもりなんだね。


大丈夫。
分かっているよ。

それが君の優しさなんだよね。


だから僕も出てはいかない。

露の妨げにはなりたくないからね。


そして再びベッドに戻ろうとした時、カタンと今度は自室の扉がかすかに揺れた。


「……!」


まさか、露……?

そう思って、思わず扉の近くまで歩み寄ってしまう。

でもそれ以上の動きはなく、部屋は静まり返っていた。


気のせいか……。

そう思い直し、背中を向けると……。


「……ま……」

「!!」