覗き込むように問われてしまい、思わず思っていた事を素直に口にしてしまう。

そんなことをはっきり言ってしまったんだから、もちろん霧様には笑われて……。


「あははっ、露は本当にストレートだね。
でも、露もかわいいよ」

「……っ!?
き、霧様もストレートです……」

「あははは!確かにね。露を前にするとつい本音が出てしまうよ。
ああ、そうだ。露、学校では僕の事を様をつけて呼ぶのはやめようか」

「え……?
では、なんとお呼びすればよろしいですか?」


確かにいくらメイドとはいえ、学校でまで様をつけて呼ぶのはおかしい気がする。


「んー、そうだな。
無難に先輩、って呼んでみて?」

「……きり、先輩?」

「うん、新鮮でいい感じだね」


戸惑いがちに霧様を呼ぶと、満足したように霧様は笑ってくれた。


「なんだか照れくさいです……」

「あはは、まあ、無理に呼ばなくてもいいから。
少しずつ、ね」

「はい」

「さ、露。そろそろ行かないと遅刻してしまうよ。露は職員室にも行かないといけないからね」

「あ、はい!」


霧様のその言葉に周りを見てみると、同じ制服に身を包んだ男女入り混じった学生たちが校舎に向かって歩いていっている。